SDGs取材記事

龍谷中学校・高等学校 中高一貫 理数グローバル1〜4年生


ESD「天ぷら油でモーターカーを動かそう」in 佐賀

佐賀龍谷学園龍谷中学校・高等学校 中高一貫 理数グローバル(佐賀市水ケ江)では、令和5年7月28日の午前にSDGs教育(ESD)の一環として、次世代の航空燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)「持続可能な航空燃料」について学び、実際に廃油から生成したバイオディーゼル燃料を使用して、運動場でモーターカーを生徒たちが作動する実験を行いました。

日揮ホールディングス様、レボ・インターナショナル様のご協力をいただき、また、日本青年会議所様のESD支援により実現することができました。

     

先ず、最初は化学室で『身近な資源が循環するMOTTAINAI運動』のタイトルで日本青年会議所地域グループ地球環境委員会副委員長の溝口様に講師としてお話いただきました。SAFの必要性や日本特有の「もったいない」精神が循環型社会を産み出している話など、参加した 生徒のみんなは、講師の話を真剣に聞き、時には質問に素晴らしい回答を返すなどして、あっという間の約1時間の授業で、生徒たちは満足した様子でした。

 

講義の次は、バイオディーゼル燃料を作る実験です。実験内容は家庭から出た使用済みの廃食油(てんぷら油)に水酸化カリウムやメタノールを混ぜて放置し分離させます。そうすることで、分離した上の部分がモーターカーを動かすためのバイオ燃料の元になります。

生徒の中から選ばれた二人がスタッフの方達と一緒に、教えられた手順で作業を行い、バイオ燃料の元を生成することができました。こうして廃食油から生成して出来上がったこのバイオ燃料を使用して動かすモーターカーのエンジンから出る煙は油の臭いがすると説明がありました。(後の動作実験で確認できました!)

    

次は、いよいよモーターカーを動かします。先生と生徒たちや講師の方々は化学室から運動場に出てモーターカーの走る準備を行います。最初に簡単に講師の方から操作の説明が行われました。生徒たちは順番にモーターカーに乗り、運動場に置かれた4つのタイヤを回ります。最初に3年生が乗り、その次に4年生の生徒たちが挑戦しました。初めての運転で恐る恐るハンドルを握り、スピードが出せずに怖がる生徒、気持ちよくスピードを感じながら走る生徒、初めてとは思えないハンドルさばきの生徒たちもいて、それぞれの生徒たちがバイオ燃料を使用して走るモーターカーを楽しんでました。

 

モーターカーに乗った生徒たちに感想を聞くと、みんな「最初は少し怖かったけど、乗ってみたらすごく楽しくて、食用油でも走るのはすごいと思った。」、「操作が難しかったけど、楽しかった。」「緊張したけど風が気持ちよくて楽しかった。」「結構スピードを出したらハンドル切るのが楽しくて、車に乗るのが楽しみになりました。」などの感想を聞くことが出来ました。 

 

暑い中、先生・生徒の皆様、講師スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。

 

   

 

授業が始まる前に、今回のイベント主催の日本青年会議所地球環境委員会の外舘友之委員長にお話を聞くことが出来ましたので、ご紹介します。

 

ー 今回の目的について教えてください。

 

今回の目的は環境問題に対する教育とSAF(Sustainable Aviation Fuel)についての説明、実験を通じて使用した油が資源(エネルギー)として活用されることを生徒の皆様にわかって欲しいと思いました。

そして、今まで捨てていたものが資源となり再利用されることで、循環型社会が作られていくことを学んでほしいと思います。

 

 

ー これからどのような部分に力を入れていきたいですか?

 

SAF(Sustainable Aviation Fuel)は今までの航空燃料の80%とCO2を大幅に削減することが可能で、また、今の既存の燃料(化石燃料)と混合して使用することが出来、既存の航空機や給油設備などにそのまま使用できるため、SAFの利用についてもっと伝えていきたいと考えています。

 

今度、大阪府堺市にはSAFを生産するための設備も建設されます。その新会社は石油元売りの「コスモ石油」やプラント大手の「日揮ホールディングス」「レボインターナショナル(京都)」の3社で設立され、廃食用油を原料とした国産SAF(持続可能な航空燃料)の製造や供給事業を行うための会社です。

私たち日本青年会議所は、レボインターナショナル様と日揮ホールディングス様と「循環型社会」を作るという目的で共同して進めていきたいと考えています。

 

以上

 

取材日: 2023年7月28日

取材者:佐賀SDGs官民連携円卓フォーラム 松尾 俊明