地域とともに 循環型社会に貢献し  

カーボンニュートラルを実現する

 

田中鉄工株式会社 

https://tanaka-iron-works.com/


 田中鉄工株式会社(本社:佐賀県三養基郡基山町 代表取締役社長 古賀武志 以下、当社)は創業105年を迎えた社員数が195名の会社です。設立者の精神が受け継がれた「創意無限」を企業理念に、アスファルトプラントメーカーとしては半世紀を超える歴史を持ち、最良の品質・最良の社員を通して社会に貢献してきた会社です。

 

 SDGsを経営戦略の核として企業運営されていて、その核となる脱炭素社会への取組を起点に、SDGs各項目達成に向けて取り組まれています。その起点となるのが13番(気候変動)への対策として、カーボンニュートラル達成を目指す事です。の目標を実現していくためにも、佐賀県内の官民と連携し、お互いの取組をシェアしたいという思いから、佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムの「SDGsパートナー」へ応募していただきました。

 

 これまでに当社が進めてきたSDGs活動、特に現在力をいれられているUCO(廃食油)の熱源転換による事業確立に向けたお話等を中心に村田専務取締役、SDGs推進室の伊東室長、GX推進室の陣内室長の3名の方にお聞きしてきましたのでご紹介いたします。

 



SDGsを始められたきっかけ及び経緯について

 

 現在の事業環境が急速に変化していて、この環境・難局に対して企業としていかに柔軟に対応しながら、「社会課題・顧客事業課題の解決と利益の両立」を実現し、「社会・顧客と未来に貢献する企業」になるためには、当社の経営モデルを、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した 持続可能なCSV(共通価値の創造)モデルに変換させ、「未来にある普通なこと」をお客様と共に創出し、「SDGs達成と利益創出」を成し遂げることが必要不可欠であると判断し、約1年半程前から構想を練り、2022年の4月から本格的にSDGsに取り組み現在にいたっています。

 2023年度からは組織も戦略に基づき「GX推進チーム」「SDGs推進室」を新設し、SDGsへの取組を強化していきます。

 



これまでのSDGsの取り組み状況、及び現在の活動状況について

 

これまでの取組状況と活動状況は、以下の内容になります。

・ 企業サスティナビリティ方針の策定 ※写真参照

・ SDGs宣言の策定と公開

・ SDGs経営戦略の策定と実走

・ 戦略遂行に向けての組織体の整備

(SDGs推進室・GX推進室の組閣など)

・ 温室効果ガス(GHG)プロトコルにおける、当社の各Scopeごとの打ち手と、Scope1/2における中期目標の策定

※既存のScopeだけではなく、AP業界全体をターゲットにしたScope4についても実現を目指します。

 

その中で特に現在一番力を入れている活動は、次の事業です。

・ UCO(廃食油:Used Cooking Oilの略)の熱源転換による事業スキームの確立

 

 このUCOの熱源転換の事業コンセプトは次の通りです。

①地域とともに、循環型社会に貢献し、未来をデザインする

 ~UCO×カーボンニュートラル×地産地消~

②UCO(地産地消エネルギー)の再利用を通じて、資源循環・炭素循環・経済循環のサイクルをまわし、循環型社会に貢献する。

 


SDGsに取り組んで良かった点について

 

 同じ志、課題、試みを ともに共有し ともに協働できる様々なステークホルダーと関わり協働することができ、当社のビジョン(目指す世界観)・ミッション(果たす役割)・バリュー(大切にする価値観)の達成に近づくことができたことですね。

 

 

◆SDGsに取り組んで苦労した点(問題点や課題)について

 

 SDGsはその課題の広さ・深さ・関わり方等すべてが大きく、複雑な構造に課題が昇華しているため、当社だけでは到底太刀打ちできませんでした。視点・視座・視野を広げ、インプット&アウトプットを多方面に向けて実施すること、さまざまな観点での兆しを発見することに苦労しています。

 


取り組みたいSDGsの活動や目標、今後の取り組み予定について

 

長期目標:2050年 カーボンニュートラルの達成

中期目標:2030年 までに国内すべてのアスファルト合材工場からのCO2排出を約140万t/年⇒約70万t/年を目指す。(業界のカーボンハーフ達成)

 

【社内(GHGプロトコル Scope1・2)の中期目標】

2030年までに約781 t CO2 ⇒ ゼロ を目指す。 

 

今後の取り組み予定は次の項目の実現です。

SDGs戦略の起点はカーボンニュートラル達成。そのために下記の方法論に取り組みます。

●カーボンニュートラル実現への8つの方法<技術面>

① 材料の含水比によるCO₂削減

② 合材中温化によるCO₂削減

熱源(燃料)転換によるCO₂削減 ※UCOの熱源転換

④ エネルギー(燃焼)効率の向上によるCO₂削減

⑤ 加熱再生骨材の配合率増加によるCO₂削減

⑥ プラントサイズ・システム化によるCO₂削減

⑦ CO₂を回収して、貯蓄・利用する技術 (CCS・CCUS) によるCO₂削減 

⑧ 電気加熱(CO₂フリー電力)によるCO₂削減(カーボンゼロエレクトロヒート)

 

●カーボンニュートラル加速への5つの方法<施策・制度面>

① カーボンクレジット(Jクレジット・JCM・CDM 等)

② カーボンプライシング (炭素賦課金・排出量取引・エネルギー課税等)

③ 設備投資補助制度(インセンティブ・グリーンリカバリー等)

④ エネルギー政策(再生エネルギー・原子力・水素・合成メタン・アンモニア等の活用)

⑤ その他(エネルギー供給高度化法・省エネ法 等)

 


他の企業・団体・個人等と協力されてSDGsに取り組まれている活動について

 

・全国各都道府県のアスファルト合材協会に加盟している道路舗装会社へ、当社のSDGs戦略を共有し、意見交換を実施しています(現時点で15都道府県で実施済)

  


官(行政)や民(企業)との連携について

 

 各省庁、各自治体の環境政策課・大学のSDGs専門教授等へ訪問し、意見交換を図っています。今後は経済産業省・農林水産省等の省庁や、各地方自治体や地域企業のTOP・キーマン、インフルエンサーになりえる方々へのアプローチを図りたいと思います。

 


SDGsを進めていく上で大切にしていることは

 

 事業活動を通じて社会に貢献するのではなく、社会的価値と経済的価値を創造すること そのものを目的としています。そのためには、自前主義・自分主義から脱却し、同じ課題や試みを共有する組織と関わりながら周囲とともに価値を創造していくことを大切にしています。(CSV経営への変換 ≒ 価値創造の共有)

 


佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムにお願いしたいことは

 

 佐賀県内はもちろん県外も含め、当社と同じ志、課題、試みを ともに共有し ともに協働できる様々なステークホルダーと関われる機会や場をぜひとも提供いただきたいと思います。

 


これからのSDGsに期待したい事、意気込みについて

 

 SDGsにこれから期待したい事は、国家や業界内の変容スピードの加速、抜本的な構造改革とその兆しとなる制度や規制の改革です。そして、当社が主体者となって、各ステークホルダーを巻き込み、イノベーションを起こしていきたいと思います。

 


◆会社情報

 

企業・団体名 田中鉄工株式会社
会社代表者 代表取締役社長 古賀武志
資本金 9000万円
業種 製造業
事業内容

●アスファルトプラントの設計・製作

●リサイクルプラントの設計・開発

●合材サイロの設計・製作

●エコロジカルプラントの設計・製作

従業員数 195
設立年 1957年  ※創業1918年
URL(会社HP) https://tanaka-iron-works.com/
SDGs 担当者

SDGs推進室 室長 伊東 啓介

GX推進室  室長 陣内 太

取材場所:田中鉄工株式会社 会議室

取材日:2023年2月22日(水)

取材者:松尾 俊明