インタビュー記事


取材日:2022.1. 25(火)  

話し手:株式会社メリーランド

     代表取締役 山口 修代様

        主任 山口 清孝

山口社長と山口主任
山口社長と山口主任


― SDGsを知ることになったきっかけ、またSDGsを始めようとされたきっかけについてお聞かせください。

 

 ■山口主任:

 3年程前に当社の山口社長がセミナー・研修等にてSDGsという言葉を知ったことがSDGsを知るきっかけになりました。SDGsの内容を知ることで、私達には出来ることや考えることが無限大にあると感じたことから、これは会社でも取り入れていかないといけないと思ったのがきっかけでした。

 武雄市は地方都市であり、高齢化社会・少子化の影響を多く受けていて、これから中小企業が事業継続していくためには、地元に根差した当社が、地域になくてはならない企業価値を産み出していくことが必要であると考えています。

 SDGsに掲げる目標を取り入れ、持続可能な社会の創り手になることが当社に求められた企業価値であると考えています。アミューズ事業部のボウリングでは健康ボウリング教室を実施し、健康寿命の向上、メリッタキッズではたくさんの遊具を設置し、子供の発育増進に寄与しています。ホテル事業部では、地域の魅力を発信し、観光事業に貢献しています。

 SDGsを知ることで、目標を具体化すること、計画を立てたことを限りなく実現可能なことに近づけるための手段として、SDGsに取り組むきっかけになったと思います。

 

●山口社長:

 SDGsを知ると、奥が深くて「サステナブル」というキーワードが企業に対して求められてきているということを強く感じます。事業継承する際や次世代等において、私達と異なる価値観を企業に対して求められている社会の中で、この会社に入りたいと思ってもらうためには、会社に対する「夢」や「貢献度が高い」という部分に着目していく必要があると思います。SDGsが持つ範囲は広いため、心がけ次第で目標は個人でも企業でも持つことができるんだと思いますね。

 また、グローバル化(外国人採用)や学校教育にもSDGsが入ってくることで、世の中についていくためにはSDGsは益々必要になってくると思います。現代社会では、当たり前のことが世代によってあまりにも変化が激しく違ってきていて、多様性が広がってきていると思います。これからの若い人たちにはそういう多様性を理解できる頭になってほしいなと思います。良し悪しではなく、続けて行けるかどうかという部分で考える力を養うとか、やりながら考えるという行動が私達の世代とは違うのかなと思っています。

 


― これまでのSDGsの取り組み状況、及び現在の活動状況についてお聞かせください。

  

■山口主任:

 初めにタスクチーム(約10名程度 各部門2名ぐらい)を立ち上げて、企業行動憲章を作成しました。現状としては、昨年作成した企業行動憲章をもとに、ロジックモデル等の工程を進めているところです。まだ本格的な実績は少ないのですが、まずはSDGsを実践していくという流れを作ろうと「社内リサイクル」を計画しています。また企業行動憲章に基づくアクションプランも作成し、タスクチーム以外の従業員にも意見交換したりしながら、現在は組織作り的な基礎部分を進めているという状況です。

 

●山口社長:

 SDGsを浸透させるためには組織的に動かないといけない部分があります。当社はサービス業であり、従業員の皆さまには現場を回しながら接客等を行っていただく形になるため、SDGsを進めるといった場合にどうしても仕事を増やしてしまう可能性があります。そこで、SDGsの作業を増やすのではなく、今行っている仕事をSDGs化するというイメージにしたいと考えていて、今年度末の3月までは『SDGsを学ぶ』 というところから社員全員に対して研修を行い、そこからリーダーシップをとれる人達に集まってもらって、行動憲章~アクションプランまでをチームで作り上げていきたいと考えています。そして、来年度の4月以降を「SDGs実行元年」にしたいと思っています。3月までに横軸を作って、どういう形でどの部門で行動憲章を実際に実行していくかというアクションプランを現在、具体化しようと進めています。

 


― SDGsの取り組みを実施してみて良かった点や悪かった点についてお聞かせください。

  また、これまでに取り組まれたことに対する評価についてお聞かせください。

  

■山口主任:

 現状では、まだ具体的な活動は行ってなく、タスクチームが動いているような状況ですので、当社としての実績というものはありませんが、これまで進めてきた中で凄く考えさせられる部分があります。これから周辺の企業様や行政(市役所)といった所を巻き込み、どのように進めていくのかを話し合いながら、連携してく必要があると思います。今までは上長や管理者主導で動いていた部分に対しても、SDGsを進めていく上では現場の人間が連携してく機会が増えていくのではないかと実感しています。

 


― これから御社で取り組まれていきたいSDGsの活動や目標についてお聞かせください。

  また、何かSDGs取り組み対するスローガンはございますか?

 

 

■山口主任:

メリーランドの大きな目標としては、「企業行動憲章」にも記載している「お客様~心で通じ合うひとときとおもてなしを提供する」ことです。その行動憲章の中に次の3つの目標を掲げています。

 

①地域の人々とのつながりを大切にし、地域の灯台としての役目を果たします。

ここ数年間で複数回発生した水害により被害にあったことを活かして、災害にあった時に会社としてどのように動くべきなのか、また周辺の企業様たち(ビック、ダイソー等)と一緒に何か出来る事はないのかということを探してこの目標を設定しました。

 

②お客様の健康寿命向上を目指し、地域環境保全にも貢献します。

ボウリング事業では、「健康ボウリング教室」を開催して、年齢層関係なくボウリングを始めたいという方達を対象にした活動を行っていて、お客様の健康寿命の向上を目指していきたいと考えています。ホテル事業では、フードロス問題を考え、環境保全に役立つようなことを模索していくためにこの目標を設定しました。

 

③次世代が働きたいと思える職場を目指します。

地域に根差した、従業員が安心して働きたいと思える会社を目指したいと思い、この目標を設定しました。

 

以上の3つを行動目標として、掲げています。

  


― 官(行政)や民(企業)と連携を行っていること、これから行いたいこと(お願いしたいこと)はございますか。

 

 

■山口主任:

 企業行動憲章①にあるように、水害時だけでなく災害全般発生時にも色んな部分で対応できるようにSPF(佐賀災害支援プラットフォーム)や災害課の方達ともコミュニケーションを取りながら連携していければと思っています。他企業の連携としては、やはり同じ地区で被害にあわれた企業様と災害対策品の同時購入等おこなったり、横の連携が行う事ができたらいいと考えています。

  


― SDGs取り組みを他社(グループ内、同業他社、異業他社)と共同で行ったり、連携したりしていることはございますか?また、今後予定されていることはございますか?

 

●山口社長:

 まだはっきりはしていませんが、親会社である清本鐵工からの呼びかけでSDGsを進めていくことになると思います。あとは、ホテル業界やボウリング業界などで行っているSDGs募金に参加したり、グローバル化による協賛活動を行ったりしていますが、まだまだ臨時的であって持続的な活動としては本格的に動けていないのが実情です。

 親会社である清本鐵工では、電気炉に鉄くずを溶かして型にはめて鋳物を作る際に残るコークス(ごみ)を活かして吸収性のあるアスファルトを作ろうというリサイクルの活動を大学と連携したり、木材から出る廃材をチップにして圧縮した燃料として火力発電に利用したりしていますが、当社としては今のところ、参画する予定はありません。

 


― 佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムに期待する事や、お願いしたいことはございますか

 

■山口主任:

 SDGsの項目をみていくと、どちらかというとサービス業より製造業よりの項目が多いのかなと感じていて、当社としては「社内リサイクル」などできることを探していく必要があると思っています。そこで、同じようなサービス業の中でどのような活動を行っているのか、事例があれば是非教えていただきたいと思います。(山口主任)

 

●山口社長:

 当社では、グローバル化に伴い外国人の採用を行っているのですが、地元にコミュニティが少なく従業員の心のケアが十分できなかったりするため、佐賀で働く外国人たちが集まる場所や、ケアできる場所があれば教えていただきたいと思います。多くの外国人の声(意見)を聞く事で、それが大きな声となり説得力が増し、地域のためにも繋がる事ができ、彼らも私達ももっと動きやすくなるのではという気がします。そして彼らには長く楽しく働いてほしいので、福利厚生面で他の企業様でうまく活動されているコミュニティがあれば、是非教えていただきたいと思います。(山口社長)

 


― 最後に、これからのSDGsに期待したいことははございますか?また、どういうことを期待されますか?

 

■山口主任:

 SDGsの取り組みが個人の間でも習慣化し、より社会の常識となり生活の一部となっていくことを望んでいます。私の場合は、SDGsのリーダーとして実践していくことで、SDGsに則った活動を行っていける環境作りができたらいいと思います。(山口主任)

 

●山口社長:

 今までに行っていることや行ってきたことがSDGsに繋がっていることはあると思います。やっている事の成果を見つけてそれを知ってもらったり、気づいてもらったりする取り組みができればと思います。来年度の4月からSDGs元年がスタートします。これからもずっと続けられるようにしていきたいというのが目標です。目指すべきゴールを皆で達成したねと喜びあえることを期待したいと思います。(山口社長)

 

 

以上

 

聞き手: 松尾 俊明