インタビュー記事

取材日:2021. 9. 16(木)  

話し手:大坪産業株式会社 

     製造部 非鉄金属課

      課長代理 御厨 正志様

 



― SDGsを始められた時の問題点や、始めて良かった点はございますか?

  

 SDGs活動を行うにあたり、先ず、自分たちの仕事で何ができるのかを知ることから始まり、そのためには何をしないといけないのかといった事について、ゼロから組み立てていく事が難しくて大変でした。

 集まっているメンバーも普段は全然別々の仕事を行っている社員であるため、お互いの仕事を知らないことが多くて意見をすり合わせていく事も大変でした。メンバーの中には女性の方もいましたので、男性の目線とは着目する点が異なり、男性だけでは気が付かない部分が理解出来たりして、非常に良かったと思います。

 また、SDGs活動は若手によるメンバー5人で行っていましたので、実際に決定したことを実現するためにはベテランの先輩社員の方達にも伝えていく必要がありました。進めるにあたって言っていいのかと躊躇したり、言いにくいなと思ったりもしたのですが、皆さんきちんと聞いていただいたり、相談にのっていただけたりしながら理解していただけた事が非常に良かったと思います。

 


― 実際、SDGs活動を実施してみてどのような状況ですか?

 

 普段はコミュニケーションをとることが少ない輸送部門の担当者とたまたま話す機会があった時に、『SDGsを行っている会社なので、運転する際はアイドリングストップとかも気をつけんばいかんよね!』という話題がでて、SDGsに対する意識が社員の間でも広がってきているなという印象を受けて、やってきて良かったなと思いました。

 

 また、私の場合は外出したり他の企業様とお会いするときにSDGsのバッジを付けていますが、営業や事務所の方達は普段からバッジを付けているため、お客様からの反応があったり、バッジの話題になったりして他の企業の方達にSDGsの事を話すきっかけにもなったりしていると聞いています。今後、このSDGsのマークをトラックにつけたらいいのではないかとか、バッジだと落として無くしてしまうため落とさないように作業着のワッペンにしたらどうかという意見などが皆から出てきて、社員一人ひとりのSDGsに対する意識が高くなっているのではと思い、非常に嬉しいですね。

 


― SDGsを進めるにあたって定期的に行われている事はございますか?

 

 現在、「地球市民の会」の方達と月1回打ち合わせを行っています。進捗状況や問題点の報告、解決方法の検討を行っていて実施するにあたり、大変助けていただいています。今後とも引き続きご支援していただければと思います。

 


― 企業行動憲章の実施状況について教えてください。

 

【住み続けられるまちづくりのために、地域内の資源循環を推進します】

 地球レベルのリサイクルは当然なのですが、新しく「マイクロプラスチック」のリサイクルにも取り組んでいます。プラスチックのリサイクルを行い、再資源化する事でメーカーに納品して、リサイクルの輪をつなげていきたいと思っています。また、自分達だけでは限界もあるため、東与賀地域を中心に下記内容のチラシを作成して住民に配布する事を考えています。

 「不良品を持って来ていただいたら、リサイクルを行いますよ!」

 とにかく、東与賀から出るごみをゼロにしていくためにも、現在別メンバーでチラシ作成に当たっています。

 

【地球環境を守るため、職場と地域をクリーンにします】

 SDGsを実施する前から会社近辺の公園等の掃除は行っていましたが、今回、これを機会にもっと広範囲に実施しようと思い、月に1回会社から1㎞以内の道路をみんなで掃除を行う事で、職場と地域のクリーン化に積極的に参加しています。職場についても、常に作業場をきれいにしていくために5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)に取り組むことで、目に見える改善効果が得られたのではと思います。

 

【社員一人ひとりが夢と希望と誇りをもち、安心して働ける職場環境をつくります】

 まだ実現はしていませんが、週休二日制の実現に向けて先輩社員の方達に相談にのっていただいたり、IOTやAIといった技術を利用した仕事の効率化につながるように色んな機械を投資していただいたりと全社員非常に強力的な関係で職場づくりが実践できているのではないかと思います。とにかく若い世代が働きたいと思える会社を目指して、この活動を続けていきたいと思います。

 


― 今後の目標・課題についてどのように考えられていますか?

 

 先ずは、現在掲げている企業行動憲章に掲げている全目標を実現するために、社員全員で進めて行きたいと思っています。 実践して行く上で新たな問題点が発見できたり、成果に繋がったりという事が見えてくるのではと思います。そこから、次にどうしようかとか、こうしようかといったアイデアも出てくると思いますので、現状では自分たちが考えてきたことを100%実行していこうと皆で話し合いながら進めています。

 


― 当フォーラムに対して期待する事はございますか?

 

 現在でもSDGs活動を進めて行く上で、地球市民の方々には毎月お世話になり助けていただいていますので、本当に感謝しています。できれば、他の認定推進企業様とのコミュニケーションを図れる場所を提供していただけると助かります。他の企業の担当の方達と交流する事で、色んな問題点や課題の解決につながる機会ができればと思いますので、是非共有できる場所を用意していただけたらと思います。

 


― 最後に、SDGsについて何か思う事はございますか?

 

 先日、YouTubeにてムヒカ大統領の演説を見て思う事がありました。

 物を生産するためにはゴミや大気汚染という問題が常に発生すると思いますが、地球環境を守ろうとするためには、その経済活動を犠牲にしないといけないのではと思っていました。自分たちの会社は、新しく物を買い替えたりとか、物を処分したり、ゴミを出してもらったりするという事で成り立っているのですが、SDGsを知ることで、その経済活動と地球環境問題を並行的に取り組める活動があるということを認識し、自分の中ではすっきりしたというか、疑問に思ってたことが解決できました。本当にSDGsは今後地球規模でスタンダードになっていくのではないかと思い、改めてSDGsの重要性を知ることができました。個人的には、まだ手探りの状態で進めている事が多いのですが、これからはもっとスピード感をもって、一歩一歩確実にSDGs活動に携わっていきたいと思っています。

 

以上

 

 

聞き手: 松尾 俊明