インタビュー記事

取材日:2021.11. 25(木)  

話し手:学校法人旭学園 

     佐賀女子短期大学 

      准教授 青柳 達也様

 

【自己紹介】

 佐賀女子短期大学(以下 当校)に赴任して3年目を迎えます。主に「英語」を担当し、それに関係する授業として「国際交流演習」という授業を担当しています。また、学内の授業だけではなく、地域発信として進めている「生涯学習センター」での公開講座を通して一般市民の方々にSDGsについて学んでもらっています

准教授 青柳 達也様
准教授 青柳 達也様


― 学生達にはどのような形でSDGsを教えてらっしゃいますか

  

 私が担当している「国際交流演習」の授業を前期と後期で開講しています。前期では、最初に地球市民の会の岩永様に「SDGsに関する基礎講座」を説明していただいています。1年生を対象とする授業ですので、これまで全然基礎知識が無かった学生達に対して、「SDGsとはこういうものなんだよ」ということを紹介してもらっています。その後、グループ発表を行い、SDGsの理解を深め、私の方からも具体的な話や事例を紹介しています。

 

 後期では、自分でどの目標(SDGsの番号1~17の目標)に対してアピールするのかということを考えることから始め、短大は2年間という短い期間ですから、出来るだけ早い段階で自主的に取材や調査を行ってもらうという点に重点を置いて行動してもらっています。今年の12月には学内で個人毎の研究発表を行う予定です。

 


― 色んな国の方が在学していることで、SDGsへの影響や違いとか発見といったものはございますか?

  

 授業の中でも色んな国の学生達と異なる視点でディスカッションを行ったりすることで、お互いに役立つものになっていると思います。また、自分達が当たり前だと思っていることが、他の国では当たり前ではないということによる違いもありますね。例えばゴミの分別とかにおいては、日本は進んでいるがよその国では進んでないのが実情なので、おのずと文化による対応の違いが出ていることがわかります。

 


― 1年目に習得したSDGsの基礎知識や研究結果の発表などの経験を2年目の就職活動に繋げていくことはございますか?

  

 今のところはまだそういった活動はしていないですね。これからは必要になってくると思いますので、教育機関同士とかでその仕組みを作っていく必要があると思っています。大学の中ではもちろんですが、研究を共有するとか勉強会をするとかいう仕組みもまだまだ佐賀県の中ではできていないんじゃないかと思います。まだ、教職員の間でも温度差が激しいので、それをどこまで真剣にとらえてやっていくかということを先ずは知ってもらうという段階じゃなかいと思います。

 私の希望としては、『佐賀県で教育を受ける子供たちや若者たちはSDGsの意識を持っている。』という認識になればいいし、そうなる仕組みを私達が作っていければいいと思いますが、まだまだ時間がかかると思います

 


― 実際に授業や公開講座等を通して、学生達のSDGsに対する意識はどのように変わりましたか?

  

 視野といった面でいうと広がってきていると思います。今まで留学生と交わりが少なかった学生たちが、留学生との関りが増えてきているということで、意識の変革が起きていると思います。外国人と触れることで、「優しい日本語が必要だよね!」といったことに気づくこともありますね。防災に関してもそうですが、わからないことやわかりにくい単語(漢字)が多くて困っている留学生達に対する接し方も変わってきています。

 

 また、学内におけるグローバル化についても授業で扱っていますので、そういう意味では色んな人が共存している中で、普段考えないことが身近にあったりするということに気づきますね。例えば、漢字といった文化は学内のコミュケーションにおいてはハードルが高いです。そのため、色んなコミュニケーションの方法が自然と必要になります。

 

 本学は創立当初からSDGsスローガンとしての「誰一人取り残さない」という意識が高いと思います。それを具体化していくための要素としては、このSDGsの割合は高くて非常に重要であると思います。この意識に向かって、今実践していることを結び付けていく必要があると考えています。

 


― これから、重点的に行って行きたいことはございますか?

  

 今のところSDGsのことを学ぶ授業は、実践的ではなく座学的な授業がほとんどであるため、教育の中でもっと学べるチャンスを増やして、学生たちに学んでほしいですね。学生の日常の行動を見ていると、まだまだ省エネ活動を行ってないなと思うこともあります。全ての学生が出来ているわけではないので、もっとSDGsの入り口を広げて意識を変えて行ければと思います。その入り口を広げることを行っている学校ですよと言うことをアピールできれば学校のPRにもなるので、そういったことを積極的に行っていきたいと思います。

 

 そのためには、龍谷中学校・高等学校様が作成されたように、本学でも行動憲章を作成していきたいと思っています。高等教育で何を学ぶか学生側での選択肢が広くなっています。子どもの数も減ってきているので、大学進学がしやすい状況になってきています。そうすると、大学で何を学んだのかということが非常に大事になってくると思います。そのため、どこの大学もそれぞれ特徴を見出したり、差別化を図ったりしています。同様に企業も特徴を見つけ、差別化を図っていく必要があると思います。

 

 SDGsの教育実践は確実に視野を広げることになることだと思うのですが、物事を結び付けたり、関連付けたりすることは教育の中では非常に大事なこととして考えられています。『これとこれは繋がっている(関連している)よね?』という考え方を持つことです。そこで、今度、テレビをヒントに豆知識的なことに対して授業でSDGsクイズ大会をやろうかと思っています。少しでも楽しく、関連付けしながら覚えていくことが視野を広げる上で学生達には必要だと思います。

 

 


― SDGs取り組みに向けてスローガンはございますか?

  

 根底としてあるのは師匠の古賀武夫氏に、小さい頃から『人間は誰でも一緒なんだ』という考え方を植え付けられてきましたので、困っている人がいれば助けたいと思っています。ジェンダーのこととか、貧困のこととかもそうですね。アメリカで14年間生活したり、これまでに色んな国々を見てきたりして、色んな考え方や価値観を持つことができたことを是非活かしたいと思います。

 

 


― 最後に、これからのSDGsに期待されることはございますか?

  

 こういうことがきっかけになって、人が大きく地球規模で物事を考えるようになってほしいなと思いますね。割と目先のことだけになってしまうことが多いと思いますので、今だけ乗り切れればといいんだという考え方ではなくて、各人がもっと先のことを考えて、その思いを未来へと繋いでいきたいですね。

 

 

聞き手: 松尾 俊明